fabry2009
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11表1 脳血管障害の発症頻度などヘミ接合体男性14)発症頻度:75%,発症年齢:平均32歳ヘテロ接合体女性14)発症はヘミ接合体男性よりも通常10年以上遅れる18歳から55歳までの潜因性脳卒中15)(cryptogenic stroke)症例(721例)男性の4.9%,女性の2.4%はファブリー病であった画像上での白質病変の頻度男性と女性ともに約3割に認めることが明らかになっており,無症候性の脳虚血性変化も多い。 表2 脳血管障害の症状の特徴・ファブリー病に固有の特徴はない。・発症しやすい症状 ①後方循環の動脈の障害:回転性めまい,構音障害,複視,失調,眼振,嘔気嘔吐などが認められる。 ②網膜中心動脈閉塞,網膜中心静脈閉塞 ③若年発症の血管障害性痴呆(認知症) ④稀に拡張蛇行した頭蓋内動脈による圧迫症状群:第三脳室の水頭症や脳神経麻痺を起こす例や,頭蓋内出血例も報告されている。表3 画像所見の特徴・脳MRI・脳MRA:多発深部白質の小梗塞から広範囲の領域梗塞まで,様々な程度の梗塞巣を認める。また頭蓋内の椎骨・脳底動脈,内頸動脈の延長,拡張,蛇行が認められる(写真)。白質病変は年齢に伴い増加することが知られており,ヘテロ接合体女性においても同様に年齢に伴い増加することが知られている。・脳のMRS注1:頭部MRIで異常信号を呈していない部位においても異常が報告されている。表4 末梢神経障害の検査末梢神経電気生理学的検査方法として,通常,神経伝導検査(nerve conduction study: NCS)が行われるが,ファブリー病で障害されやすい小径線維の評価はできないために,明らかな異常は検出されない。発汗機能(発汗テスト)Sympathetic skin refl ex(SSR),定量的軸索反射性発汗試験(QSART)注2がある。発汗障害の程度と範囲を把握することが可能である。SSR,QSARTともに交感神経遠心路の客観的評価法として非常に有用である。写真 ファブリー病男性患者の脳MRA所見脳底動脈の拡張と蛇行およびbasilar topの挙上を認める(左:正面像,右:側面像)(写真提供:東京大学医学部附属病院神経内科 辻省次)

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