fabry2009
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13注1:渦巻き状角膜症: cornea verticillata注2:その他,海外文献で眼瞼浮腫が25%と高頻度に報告されている。注3:α-GAL A:α-galactosidase A: α-ガラクトシダーゼ Aファブリー病では,眼病変を比較的高頻度に合併する。眼病変で視力障害を生じることは稀であるが,重篤な眼合併症として若年に起こる網膜中心動脈閉塞症がある。角膜病変(渦巻き状角膜症)発症率ヘミ接合体男性のほぼ100%,ヘテロ接合体女性の90%以上に,特徴的な灰白色状の渦巻き状角膜混濁(渦巻き状角膜症注1)を生じる。この角膜混濁は通常幼児期から生じており,ヘミ接合体男性では4歳までに,ヘテロ接合体女性では10歳頃までには角膜混濁が生じていると報告されている16), 注2。所見混濁は角膜上皮内または上皮直下に認められ,角膜の中央から下方にかけて強いことが多い。この混濁は細隙灯顕微鏡(スリットランプ)検査で観察できる(特に強膜散乱法)。細隙灯顕微鏡所見では,灰白色のパウダー状または点状の混濁が集蔟して渦巻き状になっている。ボーマン膜や実質表層は正常である。角膜のα-GAL A注3活性は低下し,涙液中のGL-3濃度が上昇する。角膜混濁によって視力障害を生じることはない。混濁の原因主に角膜上皮細胞,特に基底上皮細胞内への脂質物の沈着と考えられている。また,基底膜とボーマン膜間への脂物質沈着や基底膜の多重化等の関与も推察される。鑑別クロロキン,フェノチアジン,アミオダロン,インドメタシンなどの長期服用者やTangier病やMelkersson-Rosenthal症候群との鑑別が必要となることがある。水晶体病変発症率白内障は男女ともに約50%に認められる(後嚢下混濁は男性で37%,女性で14%17))。所見・水晶体前嚢または水晶体前嚢下混濁・スポーク様の後嚢下混濁:ファブリー白内障とも呼ばれる特徴的な所見を呈する。水晶体の中央から周辺部に向かって,混濁が放射状に広がった形状をとり,網膜反輝光にて観察できる(自転車のスポーク状)。結膜病変結膜血管がソーセージ様に拡張・蛇行している所見が60%に認められる17)。細隙灯顕微鏡で簡単に確認でき,頻度も角膜病変に次いで2番目に多い。ヘテロ接合体女性では13歳以下にみられることはないといわれている18)。網膜病変網膜血管の拡張蛇行がヘミ接合体男性の70%に,ヘテロ接合体女性の25%に認められる16)。網膜血管がソーセージ様に拡張し,症例によっては網膜静脈分枝閉塞症などを発症して眼底出血を来たすことがある。眼底出血は高血圧や腎不全患者に通常認められる網膜病変と検眼鏡的に鑑別することは難しい。網膜血管内皮細胞や血管平滑筋細胞のライソゾームにスフィンゴ糖脂質が蓄積するために生じると考えられている。また,本疾患の重篤な眼合併症として若年に起こる網膜中心動脈閉塞症がある。角発ヘのらは所混が細な涙混主基鑑クや発白14所・水・ス晶光結結顕性網網れをら筋本症状(古典型)─眼症状─症状(古典型)─眼症状─

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