fabry2009
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23注1:ACE:angiotensin converting enzyme: アンジオテンシン変換酵素注2:ARB:angiotensin Ⅱ receptor blocker: アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬ファブリー病の根本的治療法である酵素補充療法(ERT)を行ったうえで,残っている症状に対して対症療法を実施する。治 療 ─対症療法─治 療 ─対症療法─心症状・初期の左室拡張能障害:肥大型心筋症の治療に準じ,β遮断薬,Ca拮抗薬などの投与。左室流出路狭窄には,シベンゾリンの投与や経皮的心室中隔焼灼術の実施56, 57)。・左室収縮能障害(拡張相肥大型心筋症類似病態):心不全に対して,ACE阻害薬注1,ARB注2,β遮断薬,利尿薬などの投与。また,和温療法58),両心室ペーシングによる心室再同期療法や心臓移植59, 60)。・徐脈性不整脈:恒久ペースメーカーの植え込み59)。・心房細動:抗不整脈薬,抗凝固薬の投与59)。・致死性不整脈(心室頻拍,心室細動など):アミオダロンなどの抗不整脈薬の投与や植え込み型除細動器の使用59, 61)。・虚血性心疾患:冠動脈バイパス術62)。腎症状・腎機能障害:他の腎疾患と同様に,ARBやACE阻害薬などの投与63)や蛋白制限食。・末期腎不全:血液透析,腹膜透析,腎移植のいずれかの腎代替療法。・腎移植:腎移植後の腎生存率および予後は透析患者より良好。脳血管症状・脳血管障害:一般的な血管障害と同様(アスピリン,クロピドグレルなどの抗血小板薬の投与)。・僧帽弁逸脱症,肥大性心筋症,心筋梗塞合併例:抗凝固療法を考慮。・高血圧,高脂血症(脂質異常症),糖尿病合併例:予防的治療が必要。皮膚症状・びまん性体幹被角血管腫:必要によりレーザー治療。液体窒素療法は大きな期待がもてない。・低(無)汗症:生活指導(夏の屋外でのスポーツなど)や,成人になったときの職業の選択(暑い所での仕事は避けるなど)の助言。耳症状・急性感音難聴:突発性難聴の一般的な治療に準じる(ステロイドや循環改善薬の投与)。また,高度難聴症例には補助的手段として補聴器装用をすすめる。眼症状・渦巻き状角膜混濁,白内障,結膜血管瘤:特に治療は必要ない。・網膜動脈閉塞:視力障害の可能性が高いため,早急な治療が必要〔早期に眼圧下降(眼球マッサージや前房穿刺,点滴など)や速効性硝酸薬内服にて眼底血流を改善,また星状神経節ブロックや高圧酸素療法なども可能であれば施行〕。・網膜静脈閉塞(網膜中心静脈閉塞や網膜静脈分枝閉塞症など):線溶療法や抗凝固療法が中心。

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